血液脳関門をこじ開ける

J. インターランディ(科学ジャーナリスト)
201403

日経サイエンス 2014年3月号

7ページ
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 「血液脳関門」と聞くと,まるで壁のような関所が脳の入口にあるかのようなイメージを持つ人がいるかもしれない。だがそうではない。実際のところ,脳関門は極めて複雑な活動をしている。脳の血管の内壁を覆う血管内皮細胞から成り,周辺にある細胞と情報交換をしながら,特定の物質だけを通してほかをブロックしている。最近の研究から,この脳関門が多様な疾患に関係していることがわかってきた。多発性硬化症やてんかん,アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患まで,脳関門の異常が発症に関係している可能性が浮上している。また脳関門を人工的にこじ開け,脳腫瘍に抗がん剤を届ける試みも始まっている。