グーグル効果
ネットが変える脳

D. M. ウェグナー(ハーバード大学)
A. F. ウォード(コロラド大学ボールダー校)
201403

日経サイエンス 2014年3月号

5ページ
( 1.1MB )
コンテンツ価格: 509円 (10%税込)

 かつて人々は仲間内で「記憶」という作業を分担していた。夫は妻にレストランの名前を,妻は夫にその行き方を尋ねる。職場でパソコンの調子がおかしくなったら花子に,英語の資料でわからないところは太郎に聞く。記憶の一部を身近な誰かに委ねることで,全体として記憶できる情報を増やしていた。だが近年,そうした「交換記憶」パートナーは,身近な人間からインターネットに変わった。ちょっと面倒なことを知りたいときは,パートナーや友人ではなくネットを頼るようになった。このことは,私たちに想像を超えた影響を及ぼし始めている。どうやら私たちは,インターネットの情報を自分自身の脳の中の知識だと思ってしまうらしい。