特集:宇宙の夜明け
インフレーションの証拠を観測

中島林彦(編集部)
協力:佐藤勝彦(自然科学研究機構)
羽澄昌史(高エネルギー加速器研究機構)
小玉英雄(高エネルギー加速器研究機構)
201406

日経サイエンス 2014年6月号

10ページ
( 2.6MB )
コンテンツ価格: 700

 日常生活において1秒という時間はあっという間だが,今から約138億年前,宇宙誕生からの1秒間には,劇的な事件が立て続けに起きた。最大の事件は宇宙誕生そのものだが,それに次ぐ大事件はインフレーションだ。宇宙が光速をはるかに超えるスピードで加速度的に膨張して時空の歪みを引き伸ばし,非常に均一になった後,ビッグバンという火の玉状態をもたらした。単細胞のアメーバが一瞬にして天の川銀河のサイズになってしまう,そんなおとぎ話のような急膨張が本当に起きたのか,実証するのは非常に難しいとみられていたが,今年3月,インフレーションが起きた証拠を発見したとのニュースが世界を駆け巡った。それが本当に確かなのか,年内には天文衛星による観測結果も発表される。今回の発見を受け,インフレーション理論の研究にも弾みがつきそうだ。人類は宇宙の夜明けの,まさに曙光を目にしようとしている。