特集:世界の科学力
発明を世に出すスポンサー

D. J. カポス(前米国特許商標庁長官)
201406

日経サイエンス 2014年6月号

6ページ
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 現代の様々な製品やサービスは数十年前になされた基礎的な発見の果実だ。そして大学や国の研究所による新発見のペースは衰える兆しがない。さらに中国やインドなどの国が科学研究の分野でも躍進しており,科学は今後さらに大きく進展していくに違いない。

 だが,科学の卓越が自動的に大成功技術につながるのではない。この移行には時間と資金,忍耐が必要であり,そうした資源は近ごろ不足気味だ。発見を研究室から運び出して実世界での応用に持っていくための在来の方法は過去30年ほど,かなりの苦戦を強いられている。この問題を何とかしなければ,明るい未来は実現しないだろう。

 私たちが直面しているこの危機は1つのチャンスでもある。研究室から市場までの長い行程を支援する,よりオープンで縛りのないボトムアップのシステムを構築するチャンスでもある。そうしたシステムのほうが結局のところより強固で,新時代の技術により適したものになるだろう。これをうまく実現するには,技術革新の文化を刷新する必要がある。大企業だけでなく,多くのもっと小さなプレーヤーが協力して,新しいアイデアの流れを絶やさずに維持していく文化が必要だ。