運動で病気が防げるわけ

S. S. バサック(ブリガム・アンド・ウィメンズ病院)
T. S. チャーチ(ルイジアナ州立大学)
J. E. マンソン(ブリガム・アンド・ウィメンズ病院)
201407

日経サイエンス 2014年7月号

6ページ
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 定期的な運動は心臓病や脳卒中,糖尿病の発症やそれらによる死亡リスクを下げるだけでなく,気分を上向かせ,骨を作り,筋肉を強化し,肺活量を上げ,転倒と骨折のリスクを減らし,太りすぎを抑えてくれる。これらはよく知られた効果のごく一部だ。特筆すべきは運動が知能,とりわけ注意力や組織化・計画立案の能力が求められる仕事を遂行する力を高めるらしいこと。一部の人のうつや不安の症状を和らげたり,ある種のがんを検知する免疫系の能力を高め,その発症を防ぐ効果もある。さらに細胞レベルや分子レベルで望ましい変化が起こり,アテローム性動脈硬化症や糖尿病などになりにくくなることも判明した。