特集:記憶の謎に迫る
記憶を調整する
新生ニューロン

M. A. キアベック
R. ヘン(ともにコロンビア大学)
201409

日経サイエンス 2014年9月号

6ページ
( 1.5MB )
コンテンツ価格: 600

 記憶がごちゃ混ぜにならないよう,脳は出来事や状況の特徴を他と区別できる形でコード化して蓄えなければならない。「パターン分離」と呼ばれるこのプロセスのおかげで,私たちは危険な状況と,それによく似てはいるが心配のない状況を区別できている。この能力が欠けている人は不安障害になりやすいだろう。一方,脳で一生を通じて新たなニューロンが生まれている領域が2つ知られており,パターン分離はその1つである海馬の「歯状回」という小さな領域で処理されている。パターン分離にはこれらの新生ニューロンが不可欠なようだ。新生ニューロンを特異的に増強する方法を開発すれば,不安障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの治療が可能になるかもしれない。