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第44回 新たな用途を開く大容量の2次電池を作る:駒場慎一

小玉祥司(日本経済新聞編集委員)
201411

日経サイエンス 2014年11月号

4ページ
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コンテンツ価格: 509

スマホやパソコンに使われるリチウムイオン電池より
はるかに大容量の蓄電池となるナトリウムイオン電池
課題だった寿命の壁を突破し,実用化に王手をかける


 5月,東京理科大学の駒場慎一は,米ロサンゼルス郊外にある高級リゾート地のホテルで,カリフォルニア工科大学が創設した,革新的な環境技術を表彰する「RESONATE賞」の初の受賞者として,記念式典に臨んだ。米の経済誌Fortune が主催する持続可能性に関する会議「ブレインストーム・グリーン」の一環だ。米国を代表する経済人や政治家たちを前に,他の4人の受賞者とともにあいさつし,安全でコストも低いナトリウムイオン電池が今後,世界の輸送や次世代電力網のスマートグリッドに大きな役割を果たすだろうと語った。 (文中敬称略)
寿命の壁を越える
 ナトリウムイオン電池は,リチウムイオン電池に続く新しい2次電池だ。海水から容易に原料のナトリウムを調達できる上,大容量かつ大出力も実現しやすい。しかし寿命(充放電の繰り返し回数)が短いという欠点を克服できず,21世紀に入っても実用化は不可能ではないかと言われ続けてきた。この問題を克服し,一気に産業応用が視界に入るところまで持ってきたのが駒場だ。