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第51回 「創る」計算物理学:常行真司

内村直之(科学ジャーナリスト)
201507

日経サイエンス 2015年7月号

11ページ
( 1.8MB )
コンテンツ価格: 713円 (10%税込)

実験物理,理論物理に続く第3の研究方法,計算物理学を駆使して
スーパーコンピューターの中に「もう1つの現実」を創り上げ
いくつもの未知の現象を解明するカギを見いだした


 シリカ(SiO2)が結晶化すれば輝く透明な石英(水晶)になる。それに高い圧力をかければ,水晶という形以外にも色々な構造を取る。まるで変身するかのようだ。高圧のかかる地球内部の深いところで,シリカがいったいどういう状態になっているか,厳密に知りたい……。修士論文を終えて一段落していた常行真司に,全く違う世界から新しい問題が持ち込まれた。これが,計算物理学の旗手として知られる常行の出発点となった。(文中敬称略)