遺伝するエピジェネティック変異

M. K. スキナー(ワシントン州立大学)
201507

日経サイエンス 2015年7月号

8ページ
( 1.7MB )
コンテンツ価格: 600

 現在の遺伝学で注目されているのは,DNAや染色体中のタンパク質に結合した化学分子など,DNA配列とは別に記録されている「エピジェネティック」な要因が遺伝子の活性に及ぼす影響だ。エピジェネティックな標識のほとんどは受胎後すぐにリセットされるが,一部は子孫に遺伝しうることが判明した。汚染物質やストレス,食事などの環境要因が染色体のエピジェネティック標識を付け替え,驚いたことにそれが後代まで受け継がれる可能性があるのだ。著者のチームの研究によると,肥満や糖尿病といった現代病の増加は,20世紀に先の世代が農薬などに曝露したことが一因かもしれないという。