オリーブ危機 イタリアで広がる謎の病害

B. L. ナドー(ジャーナリスト)
201602

日経サイエンス 2016年2月号

9ページ
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イタリア南部のオリーブ園で,昆虫が媒介するキシレラ・ファスティディオーサという細菌が広まっている。当局はこの菌によってオリーブの木が枯死しているとみて,蔓延を防ごうと木々を切り倒している。だがキシレラ菌がどのように木を害するのか,専門の科学者も把握し切れていない。農家は科学者と当局が結託して,オリーブの木々を不必要に伐採していると訴える。殺虫剤の使用と適切な農法によって病害拡大を抑えられる可能性もあるが,殺虫剤の広域散布には農家の反発が強い。疑心暗鬼のせいで陰謀論まで流布しており,事態は混迷を深めている。この病気がさらに広まった場合,地中海のオリーブオイル産業に大打撃が及ぶ恐れがある。