特集:重力波
重力波の直接観測 3つの意義

大栗博司(米カリフォルニア工科大学
東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構)
201605

日経サイエンス 2016年5月号

4ページ
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カリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学が中心となって推進してきた「レーザー干渉型重力波天文台(LIGO)」が,重力波の直接観測に成功した。発信源は,2つのブラックホールが互いの周りを回る連星の合体である。このブラックホール連星の起源や性質,また今回の観測の解析結果の分析については,本文に詳しい記事が掲載されているので,ここでは重力波が観測されたことの意義について考えてみよう。


重力波とは何か
編集部
重力波は一種の横波だ。重力波がx軸方向に光速で伝わっている場合,z軸方向に空間が伸び,y軸方向は縮む。ゴム膜を両手で引き伸ばした時に見られるような変形だ。こうした空間の伸縮が起きると,その次には逆パターンの伸縮が誘起され,それによってさらに逆パターンの伸縮が生じ……というサイクルが繰り返される。これが重力波の振動パターンの1つで,もう1つのパターンは伸び縮みの方向をyz平面上で45°傾けたものだ。前者をyz平面上の+タイプの伸び縮み(プラス偏波モード)とすると,後者は×タイプの伸び縮み(クロス偏波モード)になる。実際の重力波は両モードがある比率で組み合わさったものになる。