体を守る苦味受容体

R. J. リー
N. A. コーエン(ともにペンシルべニア大学)
201605

日経サイエンス 2016年5月号

7ページ
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甘味や苦味,酸味などの味を感じているのは,舌にある味覚受容体だ。特に苦味受容体は種類が多いうえ,鼻や気道,心臓,肺,腸などにも存在している。いったいなぜ? 苦味受容体が侵入細菌に対する素早い防御反応を誘発していることが最近の研究で判明した。有害な細菌が出す苦味物質を検知して,線毛運動で排除したり,殺菌作用のある一酸化窒素を放出させたり,抗菌タンパク質を放出させたりする。こうした苦味受容体の機能が鈍い人は感染症にかかりやすい傾向も認められた。そもそも苦味は有害物質のサインで,苦味受容体はこれを検知するセンサーとして進化したと考えられる。そのセンサーが免疫系の早期警戒部隊として働いているのは理屈にかなっているわけだ。