ハンチントン遺伝子のパラドックス

C. ズッカート
E. カッターネオ(ともに伊ミラノ大学)
201611

日経サイエンス 2016年11月号

6ページ
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 ハンチントン病は両親いずれかの原因遺伝子に異常があると50%の確率で発症する遺伝性疾患だ。この遺伝子には「CAG」の3塩基配列が繰り返される領域があり,36個以上の反復配列を持つ人が発病する。こうした反復配列はゲノムの “がらくた”と考えられていたが,最近になって神経系の発達や進化に関わっていることがわかった。将来ハンチントン病を発症するかどうかにかかわらず,反復配列の多い人ほど特定の脳領域のニューロン数が多く,高い認知機能を示す。ハンチントン遺伝子の進化の源は単純なアメーバ細胞にあり,現在のヒトへと脈々と受け継がれてきた。有害と思われていた遺伝子には進化の謎を解く手がかりが隠されいる。