特集:言語学の新潮流
口笛言語

J. メイエ(フランス国立科学研究センター)
201705

日経サイエンス 2017年5月号

8ページ
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 通常の言葉を口笛で表現して伝える「口笛言語」をご存じだろうか。スペイン領カナリア諸島の「シルボ・ゴメーロ」など少数が知られるだけだったが,著者らの近年の研究でギリシャや中南米,東南アジアなど世界各地の約70の集団がいまも使っていることがわかった。口笛の音は単純だが,通常の発話や叫び声よりも遠くまで伝わる。また,口笛の音が伝える意味に関する言語学的な研究が進み,鳥のさえずりのような“言葉”を人々がどう理解しているのか,脳の情報処理を探る手立てにもなっている。さらに,文化遺産として口笛言語を保存・伝承する活動が広がり,カナリア諸島では現在,シルボ・ゴメーロを学校で教えている。