トウモロコシを守れ ネクイハムシとの戦い

H. ノードハウス(ジャーナリスト)
201709

日経サイエンス 2017年9月号

8ページ
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 ウエスタンコーンルートワームというネクイハムシは米国のトウモロコシ農家が最も恐れる害虫だ。このハムシの幼虫がトウモロコシの根を食べ,枯らしてしまう。「ビリオン・ダラー・バグ(10億ドル金食い虫)」と呼ばれるが,実際の被害は毎年20億ドル近いとされる。ネクイハムシに対する毒素を作り出す土壌細菌の遺伝子を組み込んだトウモロコシ品種が2000年代になって開発され,被害はいったん収まったものの,これが効かないハムシが出現した。最新の対抗策は,ネクイハムシの特定の遺伝子に作用する分子をトウモロコシに組み込み,この昆虫を殺す。果てしのない戦いを現場からリポートする。