特集:がん免疫療法のブレークスルー
登場したCAR-T療法 実力と課題

宮田満(日経BP)
201711

日経サイエンス 2017年11月号

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患者の免疫機能を増強してがんを攻撃する免疫療法は,古くから様々に試みられてきた。だがその効果ははっきりせず,「効かない治療」の代名詞にもなってきた。だが近年,状況は一変した。きっかけは2014年7月に認可された「ニボルマブ」(商品名オプジーボ)だ。一部のがんに対してはこれまでにない効果がみられ,免疫療法は手術,放射線治療,化学療法に続く,ガン治療の第4の柱として期待を集めるようになった。

そして8月末,米食品医薬品局(FDA)は,スイスのノバルティスが開発したCAR-T細胞「CTL019」(商品名キムリア)を,難治性または再発をくり返すB細胞性急性白血病の治療薬として認可した。患者から取った免疫細胞,T細胞の遺伝子を改変し,白血病細胞に結合しやすくした“スーパーT細胞”だ。患者に点滴すると,白血病細胞の表面にある受容体のタンパク質を目印に結合し,活性酸素などを出して白血病細胞を死滅させる。臨床試験では高い効果が得られ,FDAも承認を急いだ。だが大きな課題が2つ残っている。コストと安全性だ。