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第75回 命をつなげる生殖細胞の謎を解き明かす:斎藤通紀

詫摩雅子(科学ライター)
201712

日経サイエンス 2017年12月号

4ページ
( 1.6MB )
コンテンツ価格: 509

20?30年前まで生殖細胞ができてくる道筋はよくわかっていなかった
分化の際に働き出す遺伝子はどれか,まわりの細胞が出す分化誘導因子は何か
培養皿の中で卵子・精子を作る試みは,それを解明するための研究だ


 ヒトの体は約37兆個の細胞でできている。細胞はいずれも個人の死とともに死滅するが,ある意味で卵子や精子といった生殖細胞だけは例外だ。体を構成するすべての細胞は,父母の精子と卵子に由来する。その父母の体もそれぞれの両親の生殖細胞に由来する。父母,祖父母,曾祖父母とたどれば,38億年前の生命の誕生までさかのぼれる。京都大学の斎藤通紀は,そんな「命をつなげる」特別な存在である生殖細胞ができてくる仕組みを解き明かそうとしている。(文中敬称略)
 斎藤の快進撃が止まらない。10月5日,Cell Stem Cell誌に新たな論文が載った。ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って,卵子や精子への最初の一歩となる「始原生殖細胞」に変化する際に必要な遺伝子を突き止めたというものだ。