特集:統合失調症に挑む
ゲノム解析でわかった複雑さ

M. バルター(ジャーナリスト)
201801

日経サイエンス 2018年1月号

8ページ
( 2.2MB )
コンテンツ価格: 611

 大勢の人のゲノムを調べるゲノムワイド関連解析を通じて統合失調症の原因となる遺伝子変異を探り出そうとする研究が続いてきたが,これまでの成果は当初の期待に応えていない。関連の遺伝子は確かにいくつも見つかったが,いずれも影響は弱く,新治療法につながるような単一の原因遺伝子は存在しないことが明らかになった。ただ,子供時代のトラウマ体験など環境要因がそうした遺伝子の影響を強めて発症リスクを高めている可能性が示されている。今後はそうした一連の手がかりを総合的にとらえた研究が必要になるだろう。