特集:巨大ブラックホール 爆誕の謎
初期宇宙のドラマを再現

中島林彦(日本経済新聞)
協力:吉田直紀(東京大学)
201810

日経サイエンス 2018年10月号

6ページ
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 初期宇宙では場所によってはガスが超音速で流れていた。この“暴風域”が宇宙の進化にどのような役割を果たしたのか,研究が進んでいる。今回,暴風域の中に暗黒物質の高密度域が存在する場合,宇宙誕生から約1億年後,太陽の数万倍の質量を持つ桁外れの超巨大星が100万年ほどで誕生し,それが大爆発を起こすことなく,そのままブラックホールに転じることが,大規模な数値シミュレーションで明らかになった。これまでの観測から,宇宙誕生から10億年もしない銀河に太陽の10億倍以上の質量がある巨大ブラックホールが存在していることがわかってきたが,暴風域で生まれた数万太陽質量のブラックホールが周囲から物質を吸い込んで,こうした巨大ブラックホールへと成長したと考えれば,うまく説明がつく。