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分子が自然に集まり,複雑な構造を作る「自己組織化」で
整然とした構造を金属イオンと有機分子だけで実現することに成功
新薬の開発などに応用しようと,企業と研究に取り組む
東京大学教授の藤田誠は2018年5月,イスラエル国会議事堂にいた。ノーベル賞の前哨戦といわれるウルフ賞の授賞式に参加するためだ。化学部門での日本人の受賞は,名古屋大学特別教授の野依良治に続き2人目。ビーカーで金属イオンと有機分子を混合するだけで分子どうしが自然にくっつき,多面体などの整然とした複雑な構造を形成する「自己組織化」の手法を世界に先駆けて開発したことが評価された。「化学のものづくりを変えることができた」と話す藤田は今,この物質を新薬の開発などに応用しようと,企業と研究に取り組んでいる。(文中敬称略)