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悲嘆など人間の感情を他の動物に帰することについて,科学者はかねて消極的だった。だが近年,動物が死を悼んでいることを示す証拠が蓄積した。実に様々な動物が近しい仲間の死を悲しんでいる。以前は,哀悼行動は霊長類やゾウ,クジラ類など脳の大きな動物に限られると思われていたが,最新の証拠はこの見方を覆した。頭のよい動物は推論能力に優れ群れの仲間と複雑な社会的つながりを持っているため,他の動物よりも細やかな形で悲しむかもしれないが,哀悼の表出は脳の相対的大きさや認知力だけによるのではないことが明確になった。親密な関係を築く能力が,どの動物種が死を悼むかを決める別の重要な要因として浮上している。