特集:ワクチンの予想外の功罪
デング熱ワクチンの混迷 抗体依存性感染増強

S. ヤスミン(スタンフォード大学)
M. ムカジー(SCIENTIFIC AMERICAN 編集部)
201909

日経サイエンス 2019年9月号

11ページ
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 毎年3億9000万人以上がデングウイルスに感染している。デングウイルスに初めて感染した人は大半が感染に気づかないが,再感染した場合には命を落とすことがある。デングウイルスへの再感染がなぜ初感染よりもはるかに致死的なものになりうるかについては,長年論争の的となっている理論「抗体依存性感染増強(ADE)」によって説明できる。

 初めて認可されたデング熱ワクチン「デングワクシア」は,デングウイルスへの感染歴のない子供に対しては初感染と同じように作用するように見え,後に感染したときの症状を重篤化させている可能性がある。この現象とADEの関係についてはまだ結論が出ていない。