特集:『三体』の科学
SF小説『三体』に見る天文学最前線 系外惑星の先にある異星文明

中島林彦(日本経済新聞)
協力:須藤 靖(東京大学)
202003

日経サイエンス 2020年3月号

8ページ
( 2.0MB )
コンテンツ価格: 611

 異星文明とのファーストコンタクトを扱った中国のSF『三体』が世界的ベストセラーとなり,SFファンのみならず多くの人々に読まれている。その背景には天文学が進展し,太陽系に最も近い恒星系を含むほとんどの恒星が惑星を持ち,中には生命が存在しうる惑星がかなりあることが明らかになったことがある。地球の文明は,太陽系が三体世界と違って太陽が1つしかないシンプルな系だったことなど偶然による幸運のおかげで発展してきたことがわかる。