特集:核酸医薬
遺伝性プリオン病 発症前治療への挑戦

S. M. バラブ
E. V. ミニケル(ともにブロード研究所)
202007

日経サイエンス 2020年7月号

6ページ
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 プリオン病は,脳に存在するPrPと呼ばれる正常なタンパク質が折り畳み異常を起こしてプリオンになり,そのプリオンが周囲のPrPを同様に変形させることで起こる致死性の神経変性疾患だ。汚染された肉などを介した感染による獲得性プリオン病は悪名高いものの人間の症例の1%以下。多くは自発的に発症する孤発性プリオン病で,PrPをコードしている遺伝子の変異が原因で起こる遺伝性プリオン病もある。アンチセンス医薬によってPrP分子,つまりプリオン化する前の正常なタンパク質の量を減らし,遺伝性プリオン病の発症を未然に防ぐ挑戦が米国で始まっている。