特集:混迷のパンデミック
急拡大する変異株

出村政彬(編集部)
202104

日経サイエンス 2021年4月号

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界規模のワクチン接種が2020年12月から始まった。しかし,やはりこの感染症の対策は一筋縄ではいかないようだ。時を同じくして英国や南アフリカ共和国で年末から変異を持つウイルスの流行が報告され,その後世界各国で変異株が続々と見つかっている。

 英国,南ア,ブラジルの3カ国でそれぞれ流行が確認された3つの変異株には,どれもウイルス粒子の表面にある突起(スパイク)に変異が起きている。これらの変異が,変異株の感染力や病原性を変化させている可能性がある。患者の体内でのウイルス量の変化や症状の違いのほか,ワクチンの効果への影響を調べる研究が急ピッチで進んでいる。

 さらに,3つの変異株のゲノムを比較すると,互いに離れた「遠縁」の関係にあるにも関わらず,共通の変異箇所を持つことがわかった。このことは,これらの変異株が出現したメカニズムと密接に関わっていそうだ。