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国内の新型コロナウイルス感染症に関するワクチン接種完了率は50%を超えた。接種されたワクチンの大半は,今回の新型コロナで初めて実用化したmRNAワクチンだ。このワクチンは高い有効性と安全性を誇るが,新たな変異を持つウイルスの登場に伴い,今後の流行をどれだけ抑え込めるかはやや不透明になっている。
世界各地で流行中のデルタ株に対して,現行のワクチンは感染予防や発症予防の効果が弱まる。ただし重症化予防の効果は保たれていることがわかっている。
直近の数カ月の研究で見えてきたのは想像以上に複雑な私たちの体の免疫系とウイルスの関係性だ。ワクチン接種後に獲得した免疫は時間の経過とともに弱まるとされるが,逆に一部の免疫細胞はウイルスを攻撃する能力が高まることがわかってきた。
一方で現行のワクチンの有効性が大きく低下する「最悪の変異ウイルス」出現の可能性も指摘されており,併せてその対処法が検討されている。
ワクチン接種後に体内で起こる免疫系の反応やウイルス変異の特徴を詳しく調べる研究は,これからの戦略を考えるための大きな手がかりとなる。