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時間の物理的意味とは( 2017-07-04 )

収録記事
2002年12月号 時間とは何か
2002年12月号 時は流れない
2002年12月号 根底に横たわるジレンマ
2002年12月号 アインシュタインのホットなひととき
2010年9月号 時間は実在するか
2008年3月号 時間の本質を探る時が来た
 意表を突くタイトルが並ぶ。「時間は流れない」だって!? そんなバカな。現に刻一刻と時が過ぎ去っていくではないか。「時間は実在するか?」だって!? 時間が実在するのでなければ,運動も変化もありえなくなるのではないか。第一,人が生き,考えることも不可能だ。― 常識的には確かにそうである。ところが,現代物理学はその常識に疑問を向け,時間概念の見直しを迫ろうとしている。
 過去から現在へ,現在から未来へと絶え間なく続いていくようにみえる「時間の流れ」は,聖アウグスティヌスの昔から哲学の難問であったが,物理学では「時間の矢」の問題として問われ続けている。P. デイビスはこの観点から「時間の流れ」を否定する。時間が流れているように感じられるのは,時間の非対称性を観測した結果であり,錯覚に過ぎないというのだ。実際,もし時間が流れているのなら,「どれくらいの速さで流れているのか」と問うてみれば,大半の人は答えに窮してしまうだろう。「1秒間に1秒ずつ」という答えは,デイビスが指摘するように,何の意味も持たない。
 本章のもう1つのハイライトは,時間の実在性をいったんカッコに入れ,物理理論から時間を消してしまおうという試みである。古くはホイーラー=デウィット方程式に由来する「時間凍結の問題」,今日的には一般相対性理論と量子力学の統合という「アインシュタインの夢」と関連している。その主張に賛同するか否かは別にして,興味深い記事の著者C. カレンダーの専門が哲学だという点も面白い。
 アインシュタインのユーモラスな一面を紹介した「アインシュタインのホットなひととき」は必見。

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時間の物理的意味とは
日経サイエンス
2002年12月号 / 021ページから