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選挙の公正さ保つには( 2020-11-11 )
 2020年の米国大統領選挙は接戦の末にバイデン氏の勝利が確実になったが,現職のトランプ氏は郵便投票その他で不正があったとして敗北を認めず,混乱が続いている。トランプ陣営の主張の妥当性はともかくとして,選挙の公正さが損なわれては民主社会が崩壊してしまう。選挙の仕組みをめぐる問題について考えたこれまでの本誌記事をまとめてお届けしよう。

 「選挙を狙うハッキング攻撃」(2019年12月号)は米国の選挙システムが抱えるサイバーセキュリティー上の問題点を解説した記事だ。著者の計算機理工学者によると,有権者登録名簿や投票装置を悪意の攻撃者がハッキングすることは比較的簡単に可能だという。今回の大統領選では幸いにして,こうしたハッキングの報告はないが,システムの脆弱性は今後も重大なポイントになるだろう。

 システム上の問題とは別に,“1票の重み”に関する問題もある。特定の政党が有利になるような恣意的な選挙区割りが一例で,「ゲリマンダー」と呼ばれる。「ゲリマンダーを幾何学で見破る」(2019年6月号)は区割りが偏った設定になっているかどうかを数学的な手法で解析・判定するアプローチを紹介している。「だれからも文句のでない投票方式」(2004年6月号)は,複数の候補者から1人だけを選んで投票する通常の方式では多数派の意思を必ずしも正しく反映できないという意外な矛盾について考える。これを完全に解決する方法はないものの,選好順位を考慮に入れた多数決によって問題を緩和できるという。


≪収録記事≫ 2019年12月号「選挙を狙うハッキング攻撃」
  J. A. ハルダーマン(ミシガン大学) J. シュワルツ(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)
2019年6月号「ゲリマンダーを幾何学で見破る」  M. デューチン(タフツ大学)
2004年6月号「だれからも文句のでない投票方式」
   P. ダスグプタ(英ケンブリッジ大学) E. マスキン(プリンストン高等研究所)

セール期間:2020年12月25日18:00まで
選挙の公正さ保つには
日経サイエンス
2020年11月号 / 102ページから